sazanka_diary(人生で三度挫折しました)

人生で三度挫折した人間が日々思うこと。

公務員に向かないのはマジメな人(2)

 

sazanka-diary.hatenablog.com

 

※こちらは『公務員に向かないのはマジメな人(1)』の続きです。

未読の方は先にこちらを先に読むことをおすすめします。

さて、前回は公務員の成り立ちや公務員の基本理念、そして新卒採用されたばかりの方が陥りやすい出来事をまとめました。

今回は表題に少し掘り下げた内容を書いていこうと思います。

『地方公務員法』などは参考にしていますが、ほとんどは私の経験談で、私自身が10年勤めていたときに実際に起こったことや思っていたことを綴ります。

慣れてきた頃の日常風景

地方公務員が「慣れた」と感じる瞬間には2種類あり、1年周期と3年周期があります。

マジメであればあるほど、この2つの『慣れ』についていけないことが多いです。

まずは、この2つの『慣れ』について説明します。

1年周期の慣れ

公務員の仕事は、基本的に1年間のスケジュール通りに行うものが多いです。

中には2年に1回する仕事や、5年に1回する仕事もありますが

基本的な仕事は1年で1周期、1月で1周期、1日で1周期と決まっています。

 

とにかくやることすべてに対して報告とGOサイン

公務員の仕事は主に、このようにしていいですか(GOサイン)このようにしました(報告)この2つの繰り返しです。

1日でも1週間でも1月でも1年でも同じです。

よく【社会人は報・連・相が大事】とは言いますが、公務員の仕事では特に重要視されます。

何故なら、使っているお金が税金だからです。

「〇〇するために国民/市民の皆さんの税金を使います」

という意思表示であるのと同時に何かあったときに「私たちはこのように税金を使いました。不正はありません」という予防線を貼っているとも言えます。

時には(こんなものにまで報告がいるの?)というものまで報告GOサインをもらい、初めて仕事が進みます。

時には業務メールの内容や、送られてくる会報誌や、いわゆるメールマガジンのようなものが届いても報告が必要です。

仕事は一人で掛け持ちが当たり前

私の話になるのですが、新規採用された時、全く違う種類の仕事を4つ掛け持ちしていました。

1日で終わる手続きから2~3年で1周する仕事まで多岐にわたります。

全く違う法律を参考にしながら、まったく違う知識を覚え、全く違う書類を作るのが当たり前です。

そして、この仕事の内容をちゃんと知っているのは、私と上司(係長クラス)だけでした。

仕事の引継ぎは異動した前任者からの口頭のみ。同僚は自分の仕事で精一杯。

では仕事内容を知っている上司は助けにるのかと言えば、正直あまり助けになりません。その理由は後述します。

「私がいないと全体の業務が回らなくなるから、仕事は休めない」

福利厚生として有給休暇制度はありますが、実際に使っている職場かどうかは、一人に詰め込められる仕事量によって大きく変わるのが現状です。

これは民間企業も同じなのではないでしょうか。

3年周期の慣れ

この『3年周期』という謎のルールのほうが問題では? と私は考えています。

3日前に発表される人事異動

多くの地方公務員は、2~3年、だいたい3年で人事異動が行われます。

これは地方公務員法に則られたものではなく、暗黙のルールのようなものです。

2年間、3年間くらい在籍していた先生が、別の学校に行ってしまう。

小中学校に通っていた時に経験したことはありませんでしたか?

学校の先生の人事異動は、まさにこの例の典型です。

何故、約3年で人事異動が行われるのかには諸説あるのですが

 

・職員(特に若手)に多くの知識をつけさせたいから

・長く同じ職場に留まっていると、縦割り行政の構図や不正が発生しやすい

・新しい事業をするときなど、大きなプロジェクトの整備の終わりがだいたい3年

 

おおよそこの3つが大きな理由かと思います。

一見聞こえのいい理由で、問題ないように思えるのですが、仕事をやっている気になって考えてみてください。

 

1年目:右も左も分からない。とにかく所属した仕事のやり方を覚える

2年目:仕事のやり方を反芻しながら、この仕事を何のためにやっているのかを再確認

3年目:あまりない不測の事態にも対応できるようになり、仕事にも慣れて余裕が出てくる

 

そんな矢先に人事異動がやってきます。

公務員の仕事は多岐にわたります。

実際、私は介護職の方とつながる仕事を最初していたのですが、3年経って異動した先は環境関係の職場でした。

・今までに勉強してきた知識

・役所以外での人脈信頼

・職場で築き上げた人間関係

これらが、リセットされるのです。また一から再スタートです。

ここで問題なのは『これからもっと円滑にできるように改善しよう』と考えている矢先という、職員のことを全く考えていないタイミングの悪さです。

人事異動が発表されるのは、3月の議会が終了してからです。

たった数日で自分が異動する予定なのか、どんな仕事があるのか、引継ぎはどうするのか。すべてを考えなければいけません。

そして、先ほどの年間スケジュールを再び見てくださると分かりやすいのですが

公務員が一番忙しいのは、契約や入札などが一気に重なる4月です。

ばたばたしながら後輩に仕事を教えて、異動先で忙しい前任者に仕事を教わる。

そして、その仕事内容を知っているのは、前任者と上司だけです。

上司も長くて3年スパンで交代するので、上司も知らないというケースもしばしばです。

少なくとも、私の場合は当てになりませんでした。

地方公務員は人間の向上心を折っていく

私が「マジメな人は公務員に向かない」と言った大きな理由はこれです。

「奉仕者」「国民/市民のために全力で努めなければならない」

根がマジメな人は、まずはこれを重要視するのではないでしょうか。

慣れない知識を勉強し、法律も学び、クレーム対応もこなし、1年、2年と報告とGOサインの繰り返し。

ようやく余裕が出てきて、よりよくしようと思ったら、今までの知識が殆ど通用しない職場へ、数日前に「行け」と命じられる。

貴方を助けてくれる人は、いるとすれば新しい仕事をやっていた前任者でしょうが

その方にも別の仕事があてがわれて忙しい。教わる余裕がない。

こんな状態で、すべての仕事を全力をこなせますか?

私事ですが、異動先で体調を崩した方を、田舎の役所でありながらたくさん見てきました。

中には、異動先の前任者が心の体調を崩していて、前年の資料を見ながら仕事をこなしている方もいました。

最初の歓送迎会で同期が30人以上いたはずなのに、6年目には20人ほどになっていました。

だいたいの理由が、環境の大きな変化に耐えられなくなって辞めていきました。

まず『市民の方々のためになるから』という向上心のある理由で公務員になる方は、そんな現実があることをよく考えましょう。

暗黙の公務員制度は、貴方の向上心をバキバキに砕いていきます。

まだまだある公務員の因習

『公務員に向かないのはマジメな人 』という理由に関してはここまでです。

しかし、地方公務員時代に体験した暗黙のルールはまだまだあります。

こういった『公務員の因習』に潰された職員は少なくないと思います。

これからも、こう言った情報をつらつらと、好きなように書かせていただきますので

興味のある方は読んでいただけると幸いです。

それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

がっつり版:https://sazankadiary.com/2020/03/15/publicservant02/