sazanka_diary(人生で三度挫折しました)

人生で三度挫折した人間が日々思うこと。

公務員にリストラはないが真綿で締められる

こんにちは、山茶花です。

公務員の回、本日は公務員一人一人の質について。

私が公務員に就職してた頃、親類によく言われたセリフがあります。

「公務員はいいよね。リストラがないから」

「公務員は安定してるよね、首切られなくていいし」

揶揄と言っていいと思います。

私が就職した頃はいわゆる就職氷河期でしたので、就職していてもリストラでいつ辞めさせられるか分からない、だから公務員はリスクが無くて羨ましい。

まぁ、私としては「試験のために死ぬ気で勉強して受かったんだから、文句言う奴は受けてみろよ」という気持ちでした。

公務員はリストラできない。これはまごうことなき事実です。

しかし、それによる弊害が現在でも燻ているのは事実であり、このせいで折角の人材が辞めていき、職員の質が落ちていく。これが今の公務員の現状です。

というお話をしていきたいと思います。

 

まずは民間企業と公務員の『解雇』の違いについて簡単に説明します。

ここでは民間企業と地方公務員とで比べてみましょう。

民間企業の場合

民間企業が社員を解雇する理由として挙げられるのは、主に3つです。

①整理解雇(リストラ。業績不振など理由で経費削減のために行う)

②懲戒解雇(会社の秩序を乱したものへの制裁として行う)

③普通解雇(上記以外。遅刻欠勤などの勤務態度、成績の不良、職業上の適性や能力の欠如、その他違反行為があったときに行う)

懲戒解雇や普通解雇の基準は『労働基準法』によって定められています。

地方公務員の場合

公務員には主に『免職』という言葉が使われます。

①懲戒免職(会社の秩序を乱したものへの制裁として行う、成人しているときは名前の公表を行う)

②分限免職(公務員に対する「身分保障の限界」職務放棄や公務員としての適性を欠く場合に該当する)

地方公務員の免職の基準は『地方公務員法』に則っています。

 

地方自治体、国が倒産しなければ『整理解雇』に該当することは起こりません。

全くないわけではありませんが、公務員のリストラは、ほぼ形骸化と考えてもよいでしょう。

財政破綻した自治体として『夕張市』がありますが、あそこも整理解雇は行っていません。

しかし、これが『公務員が辞めさせられない理由』の一因になっています。

『リストラがない』を言い換えると『自治体の都合で職員は辞めさせられない』ということになります。

 

前回もご紹介しましたが、公務員に必要なものは『全体の奉仕者』です

そこに利益というものは存在しません。

利益を追求するということは、税収を集めるということです。

昨今では『ふるさと納税』など自治体の努力で可視化した利益追求を見ることができますが

それ以外の仕事は、『住民票の発行』『納税証明書』『保険料の徴収』『道路の整備』など

民間で困っていることを解決したり必要な情報を提供することが仕事です。

仕事が効率的にできたとしても、非効率だったとしても、結果は同じです。

どうやって成績をつけるのでしょう。

記録として残るのは

『ちゃんと勤務しているか』

『特定の職員にクレームが来ていないか』

『トラブルを起こしていないか』

マイナス要素からの引き算方式で、免職にあたるのかを人事が確認するのです。どれほど頑張ったとしても、プラスの要素が成績に反映されることは殆どありません。

遅刻なく毎日勤務し、必要最低限の対応をして定時で帰る。

これが、公務員に求められている人材です。

私も新人の頃は窓口対応で、少しでも分かりやすく、困っている人の相談を受けたことがありました。しかし、そんな職員は組織としては必要ない人材としてカウントされます。

何故か。それは最終的にコストのかかる職員になるからです。

窓口や電話での対応を懸命に丁寧にやったあと、残るのはやらなければならない仕事です。

その仕事のために残業すれば、それは時間外手当として申請しなければいけません。

「申請できるからいいじゃん」と思った方もいるかと思います。

人事ではこれは『残業代のかかる職員』として記録上はカウントされます。

どんなに周りから「できる人」と言われても、書類上では『できない人』になります。

自治体としての『利益追求』とは、コストを極力かけない。

コストのかかる職員は仕事の少ない職場へ異動させる。

だからこそ、私は『真面目な人』は公務員になるものではないと思っています。

私もこれに該当するのですが、公務員は法律を扱っている組織である上に、模範となるべき組織なので、法律にはとてもシビアです。

なので、犯罪行為など、よほどの事がなければ免職にはなりません。

職員との間にトラブルがあった場合でも、免職ではなく減俸または別の職場へ異動させることが殆どです。

反対にそんな状況に耐えられず、退職していく人も後を絶ちません。

コストの悪さというふるいにかけて残った職員の中に、一体どれだけ真摯に対応してくれる職員がいるでしょうか。私としては不安でなりません。

 

散々『公務員はよくない』といった記事を書いてきましたが

私は対応のいい職員はかなり多いと思っています。

純粋利益を得られないからこそ、公務員は『やりがい』というお金にならないものを糧にして仕事をしています。

誰に認められることもなく、粛々と仕事をこなして、成績なんてでません。

それでも、たまに来られた方から貰う「ありがとうございました」で励まされ、また頑張ろう、と思えるのです。

もし、役場などに行く用事のある方は、一言「ありがとう」と窓口で対応した職員へ言ってあげてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

がっつり版:https://sazankadiary.com/2020/03/20/publicservant03/