sazanka_diary(人生で三度挫折しました)

人生で三度挫折した人間が日々思うこと。

公務員に向かないのはマジメな人(1)

 
こんにちは、山茶花です。


「公務員なんだ。マジメだからそうだよね」


自分の職業を聞いてきた親戚や同窓会でよく言われるんですよね。

私は地方公務員として10年勤め、退職しました。

多くのことを学ばせてもらい、多くのことを教訓としてきましたが、まずは一つこれだけは言わせてください。


マジメな人は、公務員に向きません


「公務員ってマジメな人がなるものじゃないの?」と思う方は多いと思います。よく分かります。

それでは、何故マジメな人は向かないのか、書いていきたいと思います。


今回は第1回として

『そもそも公務員とはいったいなんなのか』

『マジメな人がやりがちな公務員の仕事』

を中心に書いていきたいと思います。

 

そもそもの公務員のなりたち

公務員という職業はいつからあると思いますか?

実は戦後、日本国憲法が作られてからです。

それまでは官吏(役人)という役職でしたが、当時は天皇の大権に基づいて任命されていました。

つまり、戦前は天皇に任命された国家公務員だけだったのです。

戦後、日本国憲法にこのような一条が加えられました。

 
日本国憲法第15条(公務員の本質)

②すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。


地方公務員の大原則として、国全体の奉仕者である。というものがあります。

更に、主権者の国民全体の奉仕者として

一部の者のためではなく、国民全体の公共的利益のために勤務することが求められています。

要するに、国のために、地域のために奉仕するということです。

更にこのようなことも憲法に定められています。

 

地方公務員法30条(服務の根本基準)

すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。


つまり、職務を全力でやらなければならない、ということです。

よく「お客さまは神様」という言葉がありますが、公務員にしてみれば「すべての国民は神様」であり「国の利益のために全力で仕事をしなければならない」ということです。

ちょっと言いすぎでは? と思われるかもしれませんが、このことを、一番最初に研修で教わります。

私も地方公務員の成り立ちと憲法での公務員とは、ということを教えていただきました。

いや本当に、素晴らしい考え方ですよね。

 

マジメな人がやりやすい行動

さて、ここまで聞いたら「やっぱり仕事にマジメな人のほうがいいじゃん」という考えになった方はいるかと思います。

 

しかし、そこが落とし穴だと思っています。

 

ではここから、マジメな人が公務員になってからの流れを書いていきたいと思います。


すべての仕事に全力で挑む

前述したとおり、公務員は全体の奉仕者であり、全力で勤めなければなりません。

公務員就職となった新卒の年齢は、若くて高卒の18歳、大卒であれば22歳です。

今まで、学校という特殊な場所で過ごしてきた若者が、一番最初に「私たちは全体の奉仕者」「国/地方のために全力で仕事をしなければならない」と教えられます。

半年をかけて研修を終わらせると、頭の中は「国民/市民のために懸命にやらなければ」という意気込みに溢れていることでしょう。

それはそれで素晴らしいことですし、公務員になるにあたって大事なことです。

しかし、初めての職場という環境では、教え込まれたことが全てになります。


これは民間でも同じではないでしょうか?

研修で受けたことが全てであり、それに従わないといけない。

これは学校で、先生のいうことをよく聞いていたマジメな人間ほど、研修の内容を全て受け止めるのです。


決して悪いことではありません。


しかし、自分のプライベートや体調すらも顧みず、全力で職務にあたるマジメな公務員は、そうやって作られていきます。


どうにもならないことにさえ一生懸命になる

大前提として、公務員は「法律や条例」に基づいて仕事をしなければなりません。

いい意味でも悪い意味でも「すべての人に平等に奉仕」することになります。

 

よく「役所ではたらい回しにされる」と言います。


残念なことに、これはよくあることです。そして公務員にはどうにもできないことでもあります。

役所でのルールの中に『個人情報保護』というものがあります。

公務員は、来訪した人の家族構成や年齢、所得から医療保険、土地の所有など、その気になれば全て分かります。

なので、あくまで職務に必要な情報だけを見ることができるようになっています。

例えば、市民課の職員は住民票や戸籍謄本を出さないといけないので調べることができますが、その人が税金をいくら納めているのかは『個人情報保護』により分かりません。

これらは法律によって決まっているので「どうにもならないこと」です。

 

 (行政機関・独立行政法人等における個人情報の保護)

総務省|行政機関・独立行政法人等における個人情報の保護|<12 罰則>


しかし、来訪する人にとっては「役所の都合」です。

他にも何度も「法律によりどうにもならないもの」というものは沢山あり、理不尽だと思いつつも、公務員はできないという説明をしなければなりません。

時には怒鳴り散らされ、2、3時間拘束されることも少なくありません。

直接来られた人に言われることもありますし、電話取った瞬間、訳も分からないクレームで定時を過ぎ、夜遅くまで「すみません」と謝り続けるしかありません。


公務員は全体の奉仕者です。


例えその人がどんな人であろうと、平等に法律に則って対応します。

しかし、窓口での仕事が公務員の全てではありません。

デスクワークはほったらかしのまま、対応を繰り返し、気が付けば昼休みにデスクワークをしている。なんてことはしょっちゅうでした。

最初の一年~二年は、そういったお問い合わせを「上手く聞き流すやり方」というものを体験して学んでいくような日常でした。

 

いかがだったでしょうか。


第1回では、公務員の成り立ちと、新卒の公務員が最初に陥りがちな状況を書いていきました。

第2回では、慣れてきた頃の職場環境やマジメな人が何故向かないのかを中心に書いていきたいと思います。


それでは、最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

がっつり版:https://sazankadiary.com/2020/03/15/publicservant01/